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とある日の出来事

2015年09月13日 21:53

席についたその人は、事前にアポと取った人とは違う人だった。名刺交換すると「部長」とあったが、その前に色々とそれらしく肩書がついており、偉いのか偉くないのか、わからない人物だった。

私は、人の目をじっと見て話さない。故に、持参した資料と相手の目を交互に見て、理解状況を確認しながら、私とその人の会話は進んだ。

しかし、しばらくすると、どうもテンポが悪いことに気がつく。話し方に妙な癖があるなと思い、彼らの顔を見ると・・・、私は、驚かずにはいられなかった。

それはどこかで見た顔だった。それは、私だった。

話の節々に、斜め下を向き、上下の唇を塗った糸を、何とか解きほぐす顔。その、コンマ2秒程度の、その顔。

私はある種の恐怖を覚えた。周囲の人には知られてはいけない秘密。知られた途端、「弱者」として扱われる。しかし、合板に白いメラミン化粧版を貼った無機質なこのテーブルで、その人と私は、いや、その人と私だけが向かい合っており、世界は我々とは無関係に、廻っていた。

その人は、私と打ち合わせを終え、業務時間を終えれば、帰宅し、家族が待っているのだろうか。その人とは会話があるのだろうか。お寺の脇にある、水量は多くなくとも滞りなく流れる滝のように、彼は言葉を発し続けるのだろうか。

彼は、私よりふたまわり程歳を重ねているであろう。個人的に、友人になれるタイプでもなさそうである。しかし、私と彼はそこで対峙したのだ。彼はきっとそれに気がつかない。

だが私は、その顔を、世界が開けるまで苦悶し、僅かに扉が開いたと思ったらすぐ閉まり、再度力づくで押し続けるその顔を、私はまだ、はっきりと記憶しているのである。

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