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加子母にて

2014年12月14日 21:51

朝起きるのが、最近辛い。寒さが厳しくなってきたこともあるが、精神的に辛い。今に始まったことではないが、なかなか億劫である。

今日は8時に何とか起き上がり、身支度をしたら選挙へ。アパート向かいの保育園。いつも外観だけは見ているが、中に入るのは(当たり前だが)初めてである。一歩踏み入れると、空間を認識するのに時間がかかった。全てのスケールが小さい。投票会場は、そこが教室(というのか?)だということに気がつくのに、しばし時間がかかった。懐かしいというか何というか、少し優しい気持ちになった。

その足で駅へ。そして、電車を乗り継ぎ、3時間かけて岐阜県加子母へ。数日前に思い立ち、来訪を決めた。可能性としては少ないだろうが、私が働く上で(今のところ)理想の地。理想と言うのは、頭で考える理想であるため、身体はどう反応するか試したかった。

中津川駅からバスで1時間強。下調べをしなかったのだが、徐々にバスから見える風景は白くなり、ついには白銀世界になった。ヒマラヤスギだろうか、山々にかかる雪化粧は、言葉に表せないほど美しく、そして、目に優しかった。最近は目に疲れることしかしていない。私は、この理由なき美しい風景をただ見ていた。

バス停は役所内にあったが、着いてみたは良いが、何もない。ただただ、雪降る世界に、木造の美しい家々が点在し、川が流れ、水の音が聞こえる。さほど冬支度でもなかったこともあり、どのように時間を過ごせばよいか迷ったが、携帯で調べると、徒歩数分で道の駅があるので、そこへ向かった。

車がしばし通るが、人もまばらで、相当冷え込んでいたが、心は暖かかった。道の駅に着くと、喫茶店が併設されていたため、ホットコーヒーを飲む。外の風景を眺めながら、なんて美しいのだろうかと。そして、この世界にいることがそのものに意味があるのではないかと、そう思えた。普段は色々と考えてしまう頭は、今日は真っ白だった。帰りのバスがくるまで4時間程度。何もすることがないため、ここで過ごそうと決め、喫茶店内の本棚を見る。いくつか物色した上『奇跡のりんご』という本を手に取る。何回も書店で見た事があるが、読もうとは思っていなかった。少し読み始めると、なかなか興味深い。これは良い時間の使い方だと思っていると、急に同い年程度の男女が喫茶店に集まってきた。その様子を見ていると、どうやら合コン(街コン)の会場として使われるらしく、私はそそくさと撤退した。

さらに数分歩いたところにある喫茶店に腰を据え、またホットコーヒーを注文。今度は喫茶店内に置かれた漫画『バカボンド』を読む。バカボンド製作のドキュメンタリーは何度も観たのに、漫画はほとんど読んだことがない。読んでみると、私にはさほど面白くは思えなかった。しかし、時間を潰すにはちょうど良い。内容自体の面白さはさておき、しかし、己の命をかけ、向上心のみで勝負を挑む姿は、今の私には胸を打つものがあった。私の場合、失敗して死ぬわけではない。

帰りの電車にて、段々と日常風景に近づいていくのを見ながら、日々の風景と、あの山々の風景は、どちらが退屈なのかと考えていた。そして、例えば、あの風景を毎日見ながら、死ぬまで暮らすことが私にはできるかどうかと。「最近、なぜ社寺建築に興味があるのか?」と問われた際、日本の風土と建築の意味について話すようにしているのだが、私が今まで同僚に話した時は、新興宗教の理念を聞いているかの如く口をあけているか、鼻で笑われるかのどちらかである。自分の理想を実現できないことは屁でもないが、自分の理想を語れない状況はなかなかしんどい。

入社して数年間は、会社を辞めたいと思い続けた。それは、会社が嫌だったからである。それが発端となっている。でも今は、会社の業務に不満はない。良い上司にも恵まれ、評価もされている。でもだからこそ、これが限界ではないかと思ってもいる。今の私には、仕事をしっかりこなしたいという向上心はあっても、建築行為をしたいかと言えばそうは思えない。都市に、さらに鉄とコンクリートの塊を増やしたところで、何になるのか。理屈ではなく、そこに理想を描けない。理想を描けないことは、そのまま業務に支障をきたす。必要なことはやるが、必要以上のことをやらないようになる。建築設計は、そんな生半可なものではない。少なくとも私にとっては。

去年の年末の事を思う。あれから一年、何か変わっただろうか。去年一年は、初めて自分単独で設計監理する案件があり、希望に燃えていた。何か建築は出来ないかと、信念があった。そして、無事竣工できるかという不安もあった。ただ今は、その不安は常にあるにせよ、知識は増えど、世界を変え得るような出会いがない。いや、少し少しはあるが、しかし、この一年の空虚さは、最近ふと気付き唖然とした。

何にせよ、答えを早急に出す必要はない。答えは、おのずと現れるものである。視界を広く、そして、優しい心で物事に接するべし。

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