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内部へ

2014年11月24日 22:00

丸山洋志という建築家が、同職業の南泰裕氏と対談した「生きのびるためのコーリンロウ」という音声がある。2008年10月に録音されているので、私が大学院の2年生、就職が内定し、うっすらと社会人としての生活が見える中で、それを振り払い修士論文に没入していた頃である。私がこれを研究室で聴き、それから社会人になってもipodで聴いていた。最初は、全く理解不能だったが、何かを探り出そうとする丸山先生の熱に感化され、何となく聴いていたのだが、何回か聴くうちに、自分なりの内容を理解できるようになった。

今日、改めて聴いてみると、これまでとは異なる感想と言うか、改めて自分が建築家として逃げ道を取ってきたことがよくわかった。

丸山先生は、コーリンロウの論文について語る中で「いかにしてその内部へ入るか」ということを論じているように感じた。その「内部」というものを言葉で説明できるほど、私は知的ではないのだが、簡単にいえば、我々近代人が物事を思考するとき、何かしらの客観的指標によってそれを行う習慣がついており、その近代的な、ある意味冷めきった物事の見かたではなく、もっとドロドロした、熱いものに触れることができるかどうか、ということではないかと思う。

丸山先生の授業は、いつも何を言っているか理解できなかったが、先生は何とかして、その内部に入ろうと試行錯誤していたのだと、今になって思える。そして、ある意味、その対岸にいたのが八束先生ではないかと思えた。丸山先生の最終講義で、八束先生が、どこかの地点から方向が異なったことを話していた記憶があるが、八束先生はその内部への探求心というよりも、ある意味冷めたところで建築を思考する(まさに磯崎さんのポストモダンというものはそういうものかもしれない)という、よりレトリカルで知的な冒険の方に惹かれたのではないかと感じた。

Yくんと、時々建築について話をする際、私とYくんとのギャップもそこではないかと、今になってみると整理がつく。私の勝手な想像だが、彼はその内部へいかに入っていくかを考えており、私は、外部について、つまり「内部なんてないのさ」と嘲笑いながら、それがあたかも近代の没落と呼応した現代的な知的探索であるかのように、建築を思考していたように思える。しばし、自分なりのその軽薄さに気が付いていたため、可能な限り外部について語りつくせば、おのずと、その残骸のなかには、もっと輝かしい、大切な内部なる何かがあるのではないかと、私が考えていた。

今になって、改めて考えてみると、私のその感覚は変わっていないように思えた。仕事においても、一番苦手なのは意匠的な提案である。これが、意匠設計者の醍醐味であるとみんなが決めつけるものだから、なおさら私にとっては気が重い行為となる。施主要望や、法的な条件を考慮し、計画を整理することは好きであるし、そのための仕事量は他の人に負けていないのだが、意匠提案だけは、ないならないでも構わない。

その理由については、私自身、所謂現代の近代的な建築について、大義的なデザインの意味を見失っているからであり、故に社寺にその理想を求めているのであるが、結局は、学生の頃から変わっていないのである。いや、もっと言えば、物心ついた頃から変わっていない。私は、他者の内部に踏み入ることが、ずっと出来ないでいたのかもしれない。

私の癖は、同期であっても君付け、さん付けであることだ。そうすることで、他者との距離を置き、内部に触れる可能性を遮断している。いつからか、私はそのような癖がついてしまっていた。今をもってしても、それは同じである。

内部について語ることは、とても怖いことなのである。そこには、言い訳がない。内部は、まさの「それそのもの」が解であり、外部から、言語をもってああだこうだ言うのとは異なる。そして、外部的なものは評価がわかりやすく、また、評価をいかようにも解釈できるため、精神的に楽なのである。今から考えれば、私はそうして逃げて来たのである。

最近、得体のしれないとある人との出会いは、私に内部に触れることの大切さを教えてくれているようである。内部と言うのは、その物体の内側に触れることではない。その内側でさえ、他者として見ているのであれば外部でしかない。

逆に、このように述べることもできる。外にいたとしても、その内へ触れる勇気と優しさがあるならば、ずっと離れていても、大切な何かに触れることができるのだと。

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