木の模型

2014年09月07日 21:25

このところ、週末はあまり外出していない。石山寺多宝塔模型制作と、『百寺巡礼』という五木寛之の本を読んでいるからである。百寺巡礼は、たまたまブックオフで手に取ってから、文庫本を買い揃え10巻全て読もうとしている。久々に、学びと思考が結実したような、そんな本である。

石山寺多宝塔の模型は、屋根(2階建ではないから裳階かな)の製作に入っている。これが多面的な局面を描いており、模型を作るのが難しい。木の板を反って接着剤で付けるのだが、板そのものは平板なので、なかなか力技なところもある。

学生の頃「模型で作れる建築は、全て実際に作ることができる」と、冗談半分で先生に言われた事があったが「模型で作ることが大変な建築は、実際に作ることも大変である」と言えそうな気がする。

先週は、意匠など全く必要ないような建物だったのだが、急に施主より意匠性が求められ、数時間でスケッチをまとめ、業者にCGを描いてもらい、メールで送ってすぐ手直しと、ゴタゴタな一週間だった。しかし、実際には「それっぽくしてほしい」という要望なため、空間をまとめ、壁紙を木目調のダイノックに変更しただけのようなものである。木目調の豪華さは求められても、木そのものは求められない。

今作っているのは木の模型のため、なかなか作るのに苦労することもある。寸法が一定化しておらず、常に微調整が必要である。木の模様が印刷されたスチレンボードなら、簡単に作れるであろう。しかし、それで満足さは得られそうにない。

何も落胆しているのではない。木目調のダイノックを使うにも、それらしく見せるのには工夫がいる。私はその点まだまだである。だから、スケッチをしながら色々検討する。その楽しさはある。でも、より希望的なのは、私の後ろの棚の上に立つ多宝塔の模型の美しさである。

近代の建築は「装飾」を省いたが、今見える多宝塔は「装飾」に満ちている。しかし、そこにあるのはけがらわしさではなく、静寂さである。裳階が出来たことで陰影が生まれ、より一層その感を強めている。

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