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建築家としての道

2014年08月03日 21:43

今日は豊田市へ出かけた。目的は昭和の森。このあたりで、樹種について学べる場所を探していて、行きついた。もっと木について知りたい、というか知らなければならない。この30年、あまりに私は木と触れないで生きて来たが、今後私が建築に関わる上では、必須学習事項なのである。

電車に揺られ、最寄駅からはバスで現地へ。バスが1時間に1本しかないため、駅前で時間を潰そうとするが、喫茶店などなく、コンビニの店員に聞くと「約1キロいったところにあります」とのこと。歩きでこの地にいるとは想定されなかったらしい。約40分、私はコンビニの雑誌を読みあさった。アダルトコーナー以外は結構見た。あまり週刊情報誌を読まないため、たまに読むと新鮮だった。

定刻通りバスが出ると、田舎町をひたすら田舎へ進んだ。風景を見ていると面白かったのは、突然、何の脈絡なくスーパーやビデオショップが現れること。見ていてわかったが、こちらは本当に車社会なのだ。だから、点と点が無関係に分布し、それを車が線として繋ぐ。車社会に生きてこなかった私からすると、ちょっと不思議な光景だ。

バスで20分程行くと、湿気と蝉の声と、虫とそれ特有のにおいが充満する緑地帯へ入った。昔、家族で行ったキャンプファイヤーを思いだした。そう大きくない敷地は、歩くのには適度だった。しかし、時折降る雨と、蚊の群れ。木々を見ては写真を残す作業を繰り返すが、なかなかハードだった。

1時間半程歩くと、日本庭園があった。ちょっと大雑把な庭園だったが、その空虚さが良かった。水面に浮かぶ枯山水(ではないけど)のような表情は、私を心地よくさせた。

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バスに乗って、豊田市へ向かう。駅前で昼食を食べてから、豊田市美術館へ歩いた。谷口吉生の最高傑作らしいが、正直それほど見たいとも思っていなかったのだけれど、まぁせっかくここまで来たからと寄ることにした。谷口吉生の建築は、大体3件くらいは見たが、さほど感動がなかった。空間的には美しいと思うけど、それは視覚的に私に訴えるだけで、それ以上の感情は騒がなかった。豊田市美術館も、同様の感想だった。確かに、ヴォリュームとしての空間を貫通する通路とヴィスタは、コルビュジエ以降続く近代的な所作であり、空間のバランスは美しかったが、それ以上に「コストと手間をかけているなぁ」という、現実的なファクターが気にかかり、素直に良いとは思えなかった。

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展覧会自体は、写真家伊島薫氏の作品が良かった。部屋中に花が敷きつめられ、そこに女性が横たわっている。とても虚無的で、悲壮感に満ちていながら、どこか天国のような、この世で唯一美しい場所であるかのようにも思える。どこか、昔の中谷美紀に似ているような気もした。

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それから、建物外部に茶室があるようなので、向かった。これが素晴らしかった。最初は童子苑という茶室でお茶を頂いた。といっても立礼席であるが、建物の構成が美しかった。庇の出と軒下空間の妙。繊細な柱の大きさと配置。建物を控えめに設える為の軒の寸法。現代茶室だと思われたが、良かった。

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それから併設された茶室豊祥庵へ。これが圧巻だった。それは、初めて本格的な茶室に入ったからかもしれない。その小さな空間群は、外界の世界と優しく隔たれ、とても深遠な場所だった。伝統的な空間でありながら、それはとても機能的な「住むための機械」であるように思えた。この世界で建築家として生きていきたいと思わせる、素晴らしい建築だった。

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名古屋に戻ってから調べると、何とこの茶室も谷口吉生設計らしい。同じ敷地内にある建物として、あまりに私の捉え方が異なったためちょっと混乱したが、少なくとも私にとっては、この茶室の方が谷口の最高傑作に思える。

それが、彼の設計に寄るものなのか、そもそも「茶室・数寄屋建築」であるからなのかはわからない。でも、この建築的感動は、作家性の問題ではなく、私にとっては、とても重要な体験となった。

来て良かった。
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