獲得された風景

2009年10月24日 23:51

朝5時45分に目が覚める。平日の起床時間。なんとなくいつも身体が緊張しているのだろうか。週末になっても、頭のなかにノイズが走っている。会社にいるとき、雑用でデスクを抜けるときは、正直落ち着く。普段電話が鳴るたびに応対し、上司には気を遣い、ハキハキと働いている姿を見せなければいけない身分なので、くだらない雑用でもほっとする。

思いついたことをどんどん記すと、最近堀部さんの本をやたら見ている。あの本には、やはり何かしらの求心力があるらしい。この問題については、少しずつ楽しみながら考えたい。何だかわからないことについて考えること、それは私にとっても極上の遊びである。

で、今日はURYCの報告。一次調査終了です。

アクソメ

まず俯瞰図。完成させたという次元なので、まぁ見てくださいという感じですが、中心にそびえ立つのが、もう少しで竣工する高層マンション。となりのスーパーマーケットとともに開発地区なのだが、スケールの違いがすごいです。

うさぎ屋ラーメンから

アイレベルで見ると、巨大な要塞がそびえ立っているのがわかる。車が吸い込まれていくよう。

最上階より

一番面白かったのはこの風景。これは巨大マンションの最上階から俯瞰した我が町。これまで、周辺から柔らかく隔離されていた病院施設(茶色)が、なんともあらわになっている。病院だし、上から見下ろされるのはどうかと思うけど、どうなんでしょ・・・。

ちょっと話を大げさにいえば、人類が建築を作ってきた目的のひとつは、この「見下ろす」という優越感、というか権力の保持みたいなところにあると思う。CGで再現しているとき、こういう風景は全く想定していなかったが、しかしCGで作ったからこそ、こういう風景が想定できた。かっこよくいえば「獲得された風景」(『思想としての日本近代建築』参照)、ある意味、近代という問題構成を感じ取れる。

しかし、調査するにあたって自転車こぎながら、片手に赤ペンでもう片手に地図とくりゃ、住民は怪しみますね(苦笑)。特に困るのが、住宅街の袋小路。調べるためにはそこまで入らなければならないんだけど、明らかに不審者。でも、調査ってそんな感じですよね。


追伸

Yくん、みんなで議論できるような場、という話、楽しみにしています。堀部さんの本、Yくんが惹かれる理由がなんとなくわかる気がします。下北の部屋の机の下にあの本があったとき、なんでこの建築家に興味を持つのか、よくわからなかったけど、最近は少し時間があると、その本を眺めていたりします。でも、やはり最近やたらコルビュジエに惹かれるので、作品集を買いたいですね。まぁそういう楽しみがあることはいいことです。はい。
スポンサーサイト

あたりまえの都市

2009年10月12日 00:54

今日、イラレでトレースした地図を手に、わが街を自転車で走り回った。正直、かなり面白い。まさかわが町にホテルが二軒もあるとは思わなかった。住宅街に神社があったり、間口2間ほどのバーがあったり。あと、ひとりしか通れない小道や、昔歩兵が大砲の練習をした高台などなど・・・。なにせ、ありとあらゆる道を走ったからね(あぁ、疲れた・・・)。

そこでわかった途中経過を報告したい。まず以下はデータをformzで立ち上げたものであるが、色は赤=商業施設、水色=住宅、紫=集合住宅、茶色=公共施設、こげ茶=社寺、黒=オフィス、工場、緑色=教育施設、黄色=駐車場、駐輪場、を示す。

091011-1.jpg

091011-2.jpg

091011-3.jpg

091011-4.jpg

091011-5.jpg

091011-6.jpg

これができた時、まず「おもしろい!」と思った。なぜなら、私が私の町を俯瞰したことがなかったから。しかもゾーニングなど見られるはずもないから。しかしこうしてみると、う~ん、あたりまえの都市構造ですね(笑)。駅前に商業施設が点在し、大通りにそって商業施設ができ、国道沿いにはオフィスや工場ができる。住宅地は一歩奥へ入ったところ。基本的には2階建ての住宅が多い。公共施設はまとまって配置される。

こうして書くとあたりまえなのだけど、自分の足で調査したせいか、これらのヴォリュームがそれぞれ息をしているように思えてくる。背の高い堂々としたマンションもあれば、密集して肩を寄せ合う住宅たち。公共施設は「デン」と固めているし、商業施設は前へ前へと目立つ所に居座っている。

彼らが生きている(と感じられる)根拠は何か。それは、常に変化しているからである。私はこの町を単なるベッドタウンだと考えていた。いや、ベッドタウンであることは間違いないが、しかし丸の内で起きていることや渋谷で起きていることが、その規模が矮小であれ、脈々とこの町でも起きているのだ。そしてそこには人間が介在する。人が、そして都市が動いているのだ(・・・はい、青井さんの影響です)。

そして、これから20階建て500戸の集合住宅に人が移り住んでいく。周囲の商業施設たちはどう反応するであろうか。また住宅たちはどうであろうか。そんな変化を追うこと、それが、この「研究」の学術的なテーマだ。とはいえ、論文にするわけではないから、単純におもしろがっていてもよい。

ただ、何の変哲もない「あたりまえの都市」が、実際に呼吸していることを、今日、私ははじめて感じたのだ。

Urban Research Y-CITY

2009年09月22日 23:50

新しい建築や、新しい知的冒険によって社会が動くとき、その発端となるものは意外に、あっけないほどに単純だったりする。そしてそれは「なぜ、みんなこれをやらないんだろう」っていう感じで、どんな人でももっている些細な感覚である気がする。才ある人が道を切り開くのは、そういったもやもやした感覚を具現化し、実行し、言語化するからだと思う。だから、なんとなくやってみたいことはできる限りやってみる方がよい。

ということで、私は新しい研究を始めた。私が育った地元のアーバンリサーチ。名づけて『Urban Research Y-CITY』である。

このリサーチ(研究)の目的は、静的に見えてしまう都市の変容を、一点に収束しない様々なベクトルを介して、ざわざわっとしたその様相を視覚化することである(もろ青井哲人先生の影響である)。具体的に説明すれば、我が郊外住宅地では、ここ数年で中心に巨大なスーパーが現れ、20階建のマンションが竣工間近である。500戸入るらしいから、1戸に平均2人入るとしても1000人が移住する計算になり、それにともない都市の周辺機能も変化するものと思われる。我が辺鄙な街における、未曾有の大変化なのである。

そういった「大きな水滴」が水面に落ちた時、周辺にはどういった水面が形成されるか。その変化を知るということが関心事だが、単純に自分が住んでいる町を視覚的に表現したいという動機もある。特別な愛着があるわけでもないが、それでも私が育った街。それが研究者としても恩返しでもある気がした。

とりあえず地図の作成を始める。やはり、なかなか大変である。しかもこれから働きながらやるのか・・・(汗)。

090922-2-1.jpg

でもやはり面白い。もしこれができたら、私の研究の武器になる。だから頑張らなきゃ!



最新記事